2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大喜利ポエム#006「窓・シカ・把握」

私の心と体はずたずたに、誰が見ても公平なように9等分され、500円で売られるのだ。この運命にあった結末について、話には聞いて知っていた。鉄格子の精神病棟で、同室の先輩たちは醜い自我をむき出しに、私はふとももが美しいから700円だとか、お前はひょろ…

大喜利ポエム#004 「電気・酒・鍋」

いつか、家族の絆をもう一度、つなぎたい。私は小さな頃から父親の暴力を受けてきた。中学生の時に耐えられずに家を出てから2年間、親戚の家から2時間かけて学校に通った。高校生になり家に戻ったが長続きせず一人で暮らしはじめ、私は新聞配達とマクドナ…

大喜利ポエム#003 「竹ノ塚・履歴書・タバスコ」

足立区で生まれた私が物心ついた頃にはもう、母は風俗で働いていた。私の家は東武線の竹ノ塚駅から自転車で15分ほど、団地より汚いアパートに母と2人で住んでいた。母が勤めていた店は人妻ヘルス・プリティーウーマンという名前で、駅前をキラキラ明るく照ら…

大喜利ポエム#001 「ペリー・くず湯・バス停」

友人から電話があったのは、冬の日の午後だった。「お前の妹がさ」と、彼は話しはじめた。「今大変なこと聞いちゃった。それ言いたくて電話した訳よ。お前の妹、ガイジン男と手ぇつないで歩いてるんだどさ、こないだ結婚してたよな?だって知ってるよ、だん…

大喜利ポエム#002 「トマト・Wii・つくば」

私は学歴詐称で筑波大学にいたことになってるのだが(だから今から話す事もすべて捏造)、そんときつきあっていたカツヲは野球が上手で、子犬をかばって馬から落馬しカダラ(京都弁で体の事をカダラという変換できないフインキなニュアンスにおいて、カダラ。…

ねこをなめる

東京でも有数の説明しづらい場所にある、荏原町という品川区の外れで起こる。私は1年間やめていたタバコを吸い(この表現はあまりに村上ハルヒ的で私は好きではないけど事実なんだからしかたない。)、こどもは私の煙をいやそうに吸う。こどもはペタペタ歩くけ…

インコに関する手記 第一部 インコの体臭

私の5年前から飼っているインコは、本当によくしゃべる。今日、インコは14時からの報告会議に出席する。本当は1時間で済むはずの会議はインコ用に時間は2時間とってある。しかし結局2時間半になった会議のうち、彼は実に2時間もしゃべり続けたのである。ちな…

逗子の海

土日恋人が遊んでくれないから、逗子まで海を見に行った。冬の海は寒くて灰色なんだけど、臨戦態勢のコンドームみたいになったゴム男たちがサーフィンをしてて、それを眺める女たちの7割がたは工藤静香みたいな顔をしてた。ババシャツの裏まで寒いから、自動…

10年後の自分

2013年1月12日朝、妻の誕生日の次の朝。32才。ぼくたちはドライブして、新宿のホテルで食事をとり、そのまま最上階の部屋で眠る。そんな日の、次の朝。妻が眠そうな目をこすりながら起き出してくる。彼女とは3年前に結婚した。出会ってもう10年…

タイコさんのしあわせ

タイコさんには先天性の病気で両手の爪がなくて、テーブルマナー教室で爪がないことを責められる。おばさま方がごちゃごちゃ言う間タイコさんはずっと黙ってて、今も爪はないけれど何年か前からはもう話す口もなくなってしまった。もう麹町には近寄らないほ…

看病人生

人生の大体を看病で過ごす人とそうでない人がいるとしたら私は看病する人なんです。看病する人は看病や看病みたいなことを言い訳に大体のことをやりすごそうとして何もしないで日々生きています。看病は結局おせっかいで勝ち組思想じゃないんだけどまあそれ…