第一回八文賞招待作品「テーマ:あの人」

0. 抗えなさ 予定されたままにリリーフが崩れる。阪神戦をみている。自分が生まれるもっと前、ジュラ紀とかそんな頃から今日の逆転負けが決まっていなのではないかと、その事実の軽さと覆らなさに打ちのめされる。あが監督ならば言うだろう「ジュラ紀から。…

猫大好きフリスビー

ぼちぼちなにか書こうかと思ってます。猫がいない生活にもなれました。 以下、評判の良いネタ再放送。 大喜利ポエム#011「自己PR・三輪車・珊瑚礁」 http://d.hatena.ne.jp/laos/20090217/1234873048 大喜利ポエム#008「フラフープ・甘酒・影」 http://d.h…

大喜利ポエム #021 「たぬき・シャネル・電光掲示板」

目黒駅前にたぬきが出現。相武紗季が交差点で追突した次の日の早朝だった。冬の朝の空気は澄んでおり、静かな重みだけが時折寄せては返すだけの風景にたぬきが現れたのだ。 バス停には妹が待っていた。ロータリーに大井競馬場行のバスが入ってきて共に乗り込…

大喜利ポエム #020 「小学校・羊・バス」

帰ってきて家がなかったら、私の足は持ち上がりどこへでも行きたがるはずだと思う。 戦争はジメジメと20年は続き、面倒な親戚連中が順繰りにいなくなり、最後に私の家族だけが残った。NTTは民主党に投票する感じの死んでも懲りないかたがた向けに、結婚式と…

大喜利ポエム #019 「美味・かれん・修得」

実際のところ、私はそうとうに煮詰まっているのだ。 あなたは私が1週間も何も書けないのを見かねて、実家にでも行って休まないと、どうにかなりそうだった。メンタルヘルスのリハビリで温泉に毎日行くけれども、夕方には眠くなって困ってしまう。 もう決定的…

大喜利ポエム #018 「水着ギャル・破魔矢・家出犬」

※注:この文章はコラージュによる創作であり、犯行予告等の類ではありません。 尚子さん元気ですか。僕は団地の1つ下の階には毎日行くので、尚子さんもぜひ来てもらって、その時会いましょう。お金のない39歳を見たら、すぐに打ち解けると思う。 この前、下…

大喜利ポエム #017 「はんなり豆腐・はみがき・うちわ」

私がほぼ面識のなかった父方の祖母に預けられたのは、中学2年のことだった。 京都と兵庫の県境の小さな町で、祖母は一人で暮らしていた。行き場のない私に対し両親が知恵を出し合った結果、絶縁状態の祖母に預けるというウルトラCを完成させたのだ。 小さな…

大喜利ポエム#016「リストラ・黒人・博物館」

◆ 私が生まれたときには兄が5歳の愛され盛りで、私にとってのディズニーランドはつい最近までベビーカーの中のものでしかなかった。私は何も買ってもらえなかった代わりに、父の暴力の関心からも逃れた。隠れるように15年を過ごしていたが、高校受験に失敗し…

大喜利ポエム#015「ゴーヤ・10号線・綿抜き」

A子が最後に男と寝たのは半年前で、35歳節目の乳がん検診がある前日。 てきとうに見繕った社内の25の男をひっかけて久我山の家に連れ込んだ。 渋谷の沖縄料理屋で1500円も出してありがたがって豚の脂身を食べる。 グラス一杯の900円の密造酒をありがたがって…

会社員になりたい人へ捧ぐ模範解答

■ 自分自身を当社製品に例え、その理由を含め、熱く語ってください。 (200文字以内)「チーズのような女だ」と言われた事があります。とは言っても臭いがきついとかではなく、ダンスのスタイルの事です。私は大学の強豪社交ダンスサークルで強化部長を務め…

大喜利ポエム#014「宅配・ゴマ・内線」

私たちが家庭内別居するようになって、2ヶ月。特別な理由はない。結婚して3年経ち、熱情のままに求め合う時間は過ぎた。お互いが別の人生の可能性があったことを感じていた。両親が子供を待望していたのに、ちっとも妊娠しなかったこともある。だって生殖行…

大喜利ポエム#012「ドラマ・号泣・デトックス」

ヒトの気分や伝えたい事がフキダシになって浮かぶようになったのは戦前の頃だって、おじいちゃんが教えてくれた。白人兵を見て戦闘力がいくつだとか、今まで何人を殺してきたとか、分かったらしい。おじいちゃんは酔っ払う度に言ってた。フキダシからはそい…

大喜利ポエム#011「自己PR・三輪車・珊瑚礁」

はじめまして、人事部の村上と申します。本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、自己PRをお願いできますか。「ふと、私は自分が宮崎にいることに気付きました。2歳と6ヶ月が過ぎた頃だったと思います。どちらかといえば気難しいタイプだった私はそ…

大喜利ポエム#010「シドニー・ポカリスエット・SM嬢」

20人前のカリフォルニアロールが届けられたとき、私は歴史の非連続性について考えていた。明日が早く来る事を願ってベッドに入った夜8時。隣の部屋のカップルの迫り来る欲望がうるさかった。うどんで肥え太ったような燃費の悪い安上がりな豚のような寿司屋は…

大喜利ポエム#009「フォンダンショコラ・痔瘻・久宝留理子」

はじめて会ったとき、彼女は久宝留理子と名乗った。彼女は久宝留理子ではないのかもしれない。控えめに言って大人びた中学生のような顔をしている彼女が久宝留理子を知っているとも思えなかったが、まぁどこかで知ったのだろう。とにかく名前なんて何の意味…

大喜利ポエム#008「フラフープ・甘酒・影」

目覚めたら休日で、天気もよかったので私は散歩に行こうと思った。とても風が強い日だった。マンションの吹き抜けは飛んできたゴミが散乱しており、駅前の商店街通りには自転車が倒れていた。散歩する犬は地面に這いつくばって、そのまま飛んで行ってしまう…

大喜利ポエム#007「ふさぎの虫・牛レバーのからしあえ・決勝進出」

私の恋が不倫ばかりなのは、まともな男には相手にしてもらえないからだと思う。よく分かんないけど、多分そうなんだろう。よく分かんないと言えば、そういえばふさぎの虫ってのもよく分かんない。いつも最初は優しいのに、忙しいって言われて、その度にどう…

大喜利ポエム#005「高田純次・串かつ・石けん」

反 省 文 私、山田田町は昨晩、自宅にて焼酎を大量に飲み前後不覚になりました。大量のアルコール摂取の後、上機嫌なケモノのようになった私は奇声をあげながらシーツや包丁等、投げられるものを全て投げた挙句、京都に住む失業中の森田先輩に電話をして、か…

大喜利ポエム#006「窓・シカ・把握」

私の心と体はずたずたに、誰が見ても公平なように9等分され、500円で売られるのだ。この運命にあった結末について、話には聞いて知っていた。鉄格子の精神病棟で、同室の先輩たちは醜い自我をむき出しに、私はふとももが美しいから700円だとか、お前はひょろ…

大喜利ポエム#004 「電気・酒・鍋」

いつか、家族の絆をもう一度、つなぎたい。私は小さな頃から父親の暴力を受けてきた。中学生の時に耐えられずに家を出てから2年間、親戚の家から2時間かけて学校に通った。高校生になり家に戻ったが長続きせず一人で暮らしはじめ、私は新聞配達とマクドナ…

大喜利ポエム#003 「竹ノ塚・履歴書・タバスコ」

足立区で生まれた私が物心ついた頃にはもう、母は風俗で働いていた。私の家は東武線の竹ノ塚駅から自転車で15分ほど、団地より汚いアパートに母と2人で住んでいた。母が勤めていた店は人妻ヘルス・プリティーウーマンという名前で、駅前をキラキラ明るく照ら…

大喜利ポエム#001 「ペリー・くず湯・バス停」

友人から電話があったのは、冬の日の午後だった。「お前の妹がさ」と、彼は話しはじめた。「今大変なこと聞いちゃった。それ言いたくて電話した訳よ。お前の妹、ガイジン男と手ぇつないで歩いてるんだどさ、こないだ結婚してたよな?だって知ってるよ、だん…

大喜利ポエム#002 「トマト・Wii・つくば」

私は学歴詐称で筑波大学にいたことになってるのだが(だから今から話す事もすべて捏造)、そんときつきあっていたカツヲは野球が上手で、子犬をかばって馬から落馬しカダラ(京都弁で体の事をカダラという変換できないフインキなニュアンスにおいて、カダラ。…

ねこをなめる

東京でも有数の説明しづらい場所にある、荏原町という品川区の外れで起こる。私は1年間やめていたタバコを吸い(この表現はあまりに村上ハルヒ的で私は好きではないけど事実なんだからしかたない。)、こどもは私の煙をいやそうに吸う。こどもはペタペタ歩くけ…

インコに関する手記 第一部 インコの体臭

私の5年前から飼っているインコは、本当によくしゃべる。今日、インコは14時からの報告会議に出席する。本当は1時間で済むはずの会議はインコ用に時間は2時間とってある。しかし結局2時間半になった会議のうち、彼は実に2時間もしゃべり続けたのである。ちな…

逗子の海

土日恋人が遊んでくれないから、逗子まで海を見に行った。冬の海は寒くて灰色なんだけど、臨戦態勢のコンドームみたいになったゴム男たちがサーフィンをしてて、それを眺める女たちの7割がたは工藤静香みたいな顔をしてた。ババシャツの裏まで寒いから、自動…

10年後の自分

2013年1月12日朝、妻の誕生日の次の朝。32才。ぼくたちはドライブして、新宿のホテルで食事をとり、そのまま最上階の部屋で眠る。そんな日の、次の朝。妻が眠そうな目をこすりながら起き出してくる。彼女とは3年前に結婚した。出会ってもう10年…

タイコさんのしあわせ

タイコさんには先天性の病気で両手の爪がなくて、テーブルマナー教室で爪がないことを責められる。おばさま方がごちゃごちゃ言う間タイコさんはずっと黙ってて、今も爪はないけれど何年か前からはもう話す口もなくなってしまった。もう麹町には近寄らないほ…

看病人生

人生の大体を看病で過ごす人とそうでない人がいるとしたら私は看病する人なんです。看病する人は看病や看病みたいなことを言い訳に大体のことをやりすごそうとして何もしないで日々生きています。看病は結局おせっかいで勝ち組思想じゃないんだけどまあそれ…

プレゼントは干しきのこ

私はよく人からプレゼントを貰う。 2008年も色々なひとから色々なものをもらいました。・干しきのこ ・靴下 ・自作米 ・袋にぎゅうぎゅう詰めの山盛り小型クロワッサン 私はパン嫌いだし、米は少し気持ち悪い。 きのこはやるかたなくずっと車に置いてたんだ…